1963 年 84 巻 1 号 p. 21-25,A2
固体の表面酸性度を測定するアミン滴定法をより定量的に検討する目的で,無極性溶媒中に分散したシリカゲルあるいはシリカアルミナゲルに指示薬を吸着させたもの,およびこれがπ一ブチルアミン吸着量の増加にともなって,酸性色から塩基性色に変化する経過の吸収スベクトルを測定した,,それぞれの吸収スペクトウの形,吸収極大の波長,分子吸光係数などを検討し,いくつかの吸着状態の特徴を挙げることができたが,一般に吸収スペクトルの変化には等吸収点があらわれて水溶液状態のそれに類似している。また指示薬の呈色率の変化が,変色点付近から非常にゆるやかになっていくので,肉眼によって終点を判別する難点を明らかにした,また一定量のアミンにおおわれているゲルに吸着した指示薬について,吸着量と吸光度との間に直線関係が成立することを示した。これらの実験葛実から考えると,吸着物質と表面との問には,ある表面平衡が存在することが推定され,アミン吸着量と指示薬の呈色率との関係を検討すれば,表面酸性度を定量的に解明することが期待できることを述べた。
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