日本化學雜誌
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放射性ルテニウムのチオシアン酸錯体としての溶媒抽出
岡 好良加藤 豊明
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1963 年 84 巻 3 号 p. 249-253,A17

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抄録

核分裂生成物として重要な放射性ルテニウムを塩酸,硫酸および過塩素酸酸性溶液からナオシアン酸錯体として溶媒抽出する基礎的研究を行なった。ルテニウムはチオシアン酸イオンと反応して紫階色錯体を生し,比色定量に応用できるが,この錯体は酸性溶液から高分子量アミンあるいはTBPなどの溶媒で効果的に抽出できる。放射性ルテニウム(106Ru)を1mol/l塩酸酸性,0.5mol/lチオシアン酸アンモニウム溶液として70℃で15分間ほど加温し,還元と錯体生成を行なわせたのち,トリーノルマルオクチルアミンのシクロヘキサン溶液またはTBPとふりませると抽出はほぼ完全に行なわれる。H106Ru(NCS)4の分配比と水溶液層の酸性度,チオシアン酸塩濃度および抽出溶媒の濃度との関係を求め,錯体の化学形をH106Ru(NCS)4と推定した。また,チオシアン酸塩を含まない鉱酸-TBP間の抽出挙動と比較し,チオシアン酸錯体としての抽出系において106び分配比がいちじるしく大きいことを認めた。

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