日本化學雜誌
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アスフアルトの動的粘弾性
阪上 信次
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1963 年 84 巻 5 号 p. 384-392,A27

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抄録

石油アスファルトはいわゆる粘弾性体である。本研究では,石油原油の真空蒸留の残留物として得られるストレートアスファルトの動的粘弾性を振動式二重円筒レオメーターを用いて測定し,その結果について現在無定形高分子物質に関して得られている線形粘弾性に関する知見に基づいて検討を加えた。その結果,ストレートアスファルトの粘弾性には時間一温度の換算法則が適用され,その換算の移動因子arの温度依存性はWLF式にしたがい,かつそのとき得られる標準温度TSより約50℃低い温度にガラス転移点が存在することを確認した。また,ストレートアスファルト中に数%の結晶性パラフィンが存在する場合の動的粘弾性を同様の方法を用いて測定した。その結果,結晶性のよいパラフィンワックスを添加したアスファルトは,含有するパラフィン結晶が融解する温度で,その動的粘弾性が不連続的に変化することを実験的に確かめた。なお,アスファルトの静的粘弾性については本研究の第2報において報告する。

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© The Chemical Society of Japan
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