日本化學雜誌
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水酸化アルミニウムによる銅(II)イオンの捕集
米窪 達雄
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1963 年 84 巻 6 号 p. 502-506,A34

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抄録
微量金属成分の分離および濃縮に際して,担体による共沈作用がよく利用されるが,その際共沈率に影響を与える諸種の要因,たとえば溶液のpH,試薬の濃度,種類などの影響をあらかじめよく知っておく必要がある。
本実験の目的は水酸化物による金属の共沈に際しての上記諸要因について基礎的検討を行なうことにあるが,各金属の定飛はポーラログラフ法によることにした。そのため水酸化物担体としては従来他の方法で広く用いられていた水酸化鉄(III)のかわりに水酸化アルミニウムを用いた。
まず微量金属成分として銅を選んだ場合,最大共沈率を示すpH領域は7ないし8.5であり,溶液の濃度により最高100%に達した。なおアルミニウム塩として硫酸塩を用いる方が,塩化物の場合にくらべ共沈率はやや大きくなり,また塩化アンモニウムの濃度がある程度(0.2rnol/l)以上のときは,共沈率が相当小さくなることを知った。こうして水酸化アルミニウムを担体とするときも,適当なpH領域および適当な試薬濃度を選べば,十分銅(II)イオンを共沈させることができ,したがってポーラログラフ法による定量に適することがわかった。
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© The Chemical Society of Japan
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