日本化學雜誌
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マレイン酸ジメチルとビニルジアゾメタンの付加環化反応による3-ビニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸ジメチルの合成とその加水分解による3-ビニルピラゾリン-5-カルボン酸の生成
田伏 岩夫高本 邦彦小田 良平
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1964 年 85 巻 10 号 p. 701-704,A54

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抄録

ビニルジアゾメタンとマレイン酸ジメチルの付加環化をエーテル中室温で検討した。得られた生成物は3-ビニルピラゾリン-4,5(cis)-ジカルボン酸ジメチルで,これは1,3-付加から生じたものである。1,5-付加生成物は認められなかった。このジメチルエステルはパラジウム-炭素触媒で水素1molを吸収し,相当する3-エチル誘導体になった。ビニルピラゾリンジカルボン酸エステルを含水メタノール,水酸化ナトリウムで加水分解すると脱炭酸生成物3-ビニルピラゾリン-5-カルボン酸を与えた。このカルボン酸を過マンガン酸カリウムで酸化開裂,脱水素するとピラゾール3,5-ジカルボン酸が得られ,これはさらにメタノールでエステル化した。このエステルを,ジアゾ酢酸メチルとアクリル酸メチルの付加環化物を臭素で芳香化して得た既知のピラゾール3,5-ジカルボン酸ジメチルを用いて確認した。上記の4-カルボキシル基の脱炭酸が容易なのは,C=N基を含む電子構造と,カルボキシル基と窒素の間の水素結合とが脱離を助けることから説明した。

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