1964 年 85 巻 11 号 p. 797-801,A61
メチレンシクロペンタン,メチレンシクロヘキサンの過酢酸,および過安息香酸による酸化反応を調べ,双環テルペンであるカンフェンの場合と比較した。反応生成物としてエポキシドのほかにアルデヒドが得られたが,二,三のアルキリデンシクロアルカンに見られた環拡大反応は起らなかった。動力学的に反応を調べた結果,反応速度は反応の初期にはオレフィンと過酸のおのおのの1次に比例する2次式として示されることがわかった。5員環と6員環では前者の方が反応性が大きく,反応性についてI型ヒズミ効果が考察された。カンフェンと比較すると,表題のオレフィンはいずれもカンフェンより反応性があることがわかり,カンフェンの双環構造はそのヒズミのために環外メチレン基の反応性を低下させることが結論された。溶媒の影響については,カンフェンの場合と同様な傾向が見られた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。