日本化學雜誌
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東京都内河川水の銅含量
野口 喜三雄西井戸 敏夫
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1964 年 85 巻 6 号 p. 365-370,A30

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抄録

最近各方面で河川の汚染問題が大きくとりあげられている。著者らは東京都内河川水の水質の実態を知り,汚染の原因を明らかにするため,昭和33年8月に東京都内各河川水の水質調査を行ない,主として銅含量について以下に報告する結果を得た。またこれと関連して,神田川,新河岸川において銅含量の月変化を検討した。銅の定量にはジチゾンー四塩化炭素溶液による抽出滴定法を用いた。
東京都内河川水の銅含量はほとんどが25~160μg/lであるが,まれには1000μg/l以上の地点がある(平井橋,入道橋,厩橋など)。河川別に見れば,隅田川,新河岸川,竪川,大横川,北十間川など各種工場地帯を流れる河川では銅含量が大きく,多摩川,江戸川および郊外部を流れる河川では比較的小さい。
また神田川,新河岸川の銅含量の月変化は工場密集地帯においていちじるしかった。
本調査で,同時に定量を行なった他の成分との関係を検すると,汚染がいちじるしいと考えられる河川においては,硫酸イオン含量が銅含最と正の相関を示した。
東京都内河川水の銅含量は産業廃水による影響が大きい。

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