日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
酢酸-ピリジン,酢酸-キノリンおよび酢酸-イソキノリン2成分系の混合熱
砂盛 敬
著者情報
ジャーナル フリー

1965 年 86 巻 12 号 p. 1236-1241

詳細
抄録

酢酸-ピリジン2成分系の示す異常性については興味ある問題である。この異常性の原因を明らかにするため, 25°Cにおける酢酸-ピリジン2成分系の混合熱,および30°Cにおける酢酸-キノリンおよび酢酸-イソキノリン2成分系の混合熱を測定した。
混合熱の極大はいずれの系でも酢酸モル分率で0.5~0.6付近にあって,極大値は酢酸-ピリジン2成分系では1.32 kcal/mol,酢酸-キノリン2成分系では1.13 kcal/mol,酢酸-イソキノリン2成分系では1.17 kcal/molの発熱量をそれぞれ示している。各成分の無限希釈濃度における混合熱の知見から,酢酸の希薄な組成では酢酸とピリジン,キノリンおよびイソキノリンとは1:1の相互作用を有することがわかった。その水素結合エネルギーとして, 7.6 kcal/molなる値を得た。また酢酸の濃い組成では1:1の水素結合を形成する相互作用とは異なったイオン形成をともなう相互作用があり,その相互作用はピリジン,キノリンおよびイソキノリンの塩基性に大きく依存することが暗示された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top