日本化學雜誌
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ジフェニルアミン重合体と数種の電子受容体との分子間化合物における半導体特性とESR
佐藤 譲桑田 敬治広田 鋼蔵
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1965 年 86 巻 12 号 p. 1244-1249

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抄録

ジフェニルアミン重合体を電子供与体とし,テトラシアノエチレン(TCNE),クロラニル,ヨウ素あるいは無水マレイン酸を電子受容体とする半導性分子間化合物を調製した。試料の比抵抗は組成によって変化し,おのおのの最低値は,ヨウ素化合物(1:0.54mol比のとき)で5.7×104ohm-cm, TCNE化合物(1:0.33)で4.7×107,クロラニル化合物(1:0.28)で1.8×109,無水マレイン酸化合物(1:0.32)では2.1×107であった。電気伝導の活性化エネルギーは0.29eVから0.49eVの範囲にわたっている。固体試料のESRは,すべて線幅7~18gaussの1本線であり,ベンゼン溶液では超微細構造が認められた。強度比1:2:3:2:1の5本線からなり,不対電子と2個の等価な窒素核の相互作用によるものと帰属された。 ESR測定により求めたスピン濃度は,組成とともに変化するが, 80°Kから363°Kの温度変化に対しては不変であった。電気伝導度の組成依存性とスピン濃度の組成依存性には差異が認められた。電気伝導度とESRの間に直接的関係が認められなかったので,電導キャリヤーがESRを示す不対スピンそのものではないと推論された。

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