日本化學雜誌
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タリウム添加セレン化カドミウム蒸着焼結膜の電気的性質
清水 和夫
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1966 年 87 巻 12 号 p. 1323-1326,A75

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抄録

CdSe+CdCl2+TINO3を10-5mmHgの真空中で共蒸着して得た膜を,窒素中で600°C-10分の熱処理を行ない,タリウム添加したセレン化カドミウム蒸着焼結膜を得た。タリウムは銅と違っていちように膜中に分布していると見られる。この膜の電流一電圧特性,光導電特性,熱刺戟電流を測定した結果,タリウム添加によって暗電流の増大と光感度の減少が観測された。これは,他の研究者が塩化カドミウムが共存しない膜について得た結果と異なる。ただし・各電圧における暗電流値は・印加電圧があまり高くない範囲で,タリウム量0.15~0.2wt%で極小になり,この極小が現われる濃度は他の研究者の結果と対応する。蒸着焼結膜に導入されたタリウムは1価と3価の両方の形をとり,高濃度では3価のタリウムが膜の特性を支配すると考えられる。タリウム添加によるいちじるしい伝導度の増加は,同時に多数のセレン空孔が発生することを予想させる。また,蒸着焼結膜における塩素の果たす役割を明らかにした。

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