日本化學雜誌
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微結晶酸化亜鉛の光導電性に対する吸着酸素および水の作用
長谷部 英雄井上 英一
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1966 年 87 巻 4 号 p. 332-342,A20

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抄録

異なった型の表面酸素をもつ酸化亜鉛微結晶について,室温での光電流変化と酸素の光脱・吸着の同時測定を行ない両者の相互関係を調べた。固有吸収域の光を照射したときと,580mμ以上の長波長光を照射したときとではいちじるしい差があり,いずれの場合も表面酸素の型によって大きく支配される。さらに,水を添加したときの挙動についても調べたが様相は非常に複雑なものになる。酸素の光脱離と光吸着とは同一照射面で同時に起っており,いずれか速度の大きい方の効果が見かけの光脱・吸着として観測され,光電流は従来からいわれているように酸素の光脱離とは一義的に結びつくものではなくて,光励起電子の数と光脱・吸着する酸素の量との大小関係によるものと解された。微量の水の存在は酸化亜鉛の暗導電性と光導電感度とをいちじるしく増加する効果を与える。これは一部が正に帯電して吸着し,また増感中心として働いているものと考える。酸素の光脱離は水の存在で促進されるが,表面にO4-が存在しない場合には起らない。以上の結果をまとめて微結晶酸化亜鉛の光導電機構を考察する。

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