日本化學雜誌
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溶融法によるプリンヌグレオシド類の合成反応における触媒および反応副生成物の検討
石戸 良治細野 彰藤井 清久菊地 靖彦佐藤 徹雄
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1966 年 87 巻 7 号 p. 752-756,A40

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抄録

種々のプロトン酸およびナプロトン酸を触媒として2,6-ジクロルプリンあるいはテオフィリンを1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノースと溶融縮合させで相当するプリンリボヌクレオシドを合成し,それらの収率から触媒能をそれぞれについて検討した。その結果,スルファミン酸,スルファニル酸,p-ニトロベンゼンスルホン酸,p-ヨードベンゼンスルホン酸,硫酸鉄(III),ピロ硫酸カリウムなどが良好な触媒であることが判明した。また,反応副生成物として系外に除かれる気体が酢酸のみからなり,その他のものとしてはD-リボフラノシルの-リボフラノシドが生成していることを明らかにした。これまでの結果から,反応機構としては二つの経路,すなわち,A)アシル糖に触媒が作用してC-1カルボニウムカチオンを生じ,これがプリン誘導体あるいはフェノール誘導体と反応する場合と,B)プリン誘導体に触媒が作用してプリン誘導体が活性化され,無触媒反応の場合と同様にアシル糖に反応していく場合とが可能であることを推論した。

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