日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
ニチオン酸イオンの吸光光度定量法
小沢 竹二郎
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 87 巻 8 号 p. 859-862

詳細
抄録

ニチオン酸イオンを含む溶液に炭酸ナトリウムを加えて蒸発乾固したのち溶融すると硫酸塩を生成する。生成した硫酸イオンをクロム酸バリウム法で吸光光度定量することによりニチオン酸イオンを定量する方法を研究した。
ニチオン酸イオンの溶液を白金ルツボ中にとり炭酸ナトリウム溶液を加えて,赤外線ランプのもとで蒸発乾固したのち,電気炉中で900°~950℃で5分間溶融する。水に溶解したのち塩酸で中和し加熱して炭酸ガスを除去してからクロム酸バリウム法で生成した硫酸イオンを吸光光度定量する。この方法でニチオン酸イオンは定量的に酸化されて硫酸イオンを生じ,試料溶液5mlを使用して5×1O-6~5×10-4mol/l(0.8~80ppm)を定量することができる。
硫酸イオンが共存する場合は,試料溶液に塩化バリウム溶液を加えて生成した硫酸バリウムを除去したのち,過剰のバリウムイオンを炭酸ナトリウムで炭酸バリウムとして除去してから定量する。この際試料溶液中の硫酸イオンの濃度を10-2mol/l(1000ppm)程度に調整した方が好結果が得られることがわかった。検量線はニチオン酸イオンの標準溶液に硫酸イオン(10-2mol/l)を共存させて上のように処理したのち作成する必要がある。亜硫酸イオンなどのイオウ酸イオンは過酸化水素水で酸化して硫酸イオンに変えてから除去する。この操作でリン酸イオン,バナジン酸イオンなどの妨害も除去できる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top