日本化學雜誌
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メタクロレインの電解還元二量化反応
御園生 晃長 哲郎上野 高尚
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1967 年 88 巻 11 号 p. 1184-1192

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抄録

α, β-不飽和アルデヒドであるメタクロレインについて, 中性塩としてρ-トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム (Mckee塩), 酸としてρ-トルエンスルホン酸 (ρ-TSA)を選び, 両水溶液中で定電位電解還元を行なった。生成物としては二量体, 三量体, ポリマー, 水銀化合物が多かった。これらの生成物を確認し, 反応機構を検討した。Mckec塩水溶液中ではβ炭素-カルボニル炭素間の結合による二量体, β炭素間の結合による二量体, Diels-Alder型二量体が確認された。単量体還元物は認められなかった。
還元二量体の生成機構は電極界面で生成する単量体アニオンが他の単量体に付加して二量体アニオンとなり, これにプロトン付加するものである。ρ-TSA水溶液中ではイソブチルアルデヒド, β炭素-カルボニル炭素間の結合による二量体, Diels-Alder型二量体, さらに2種の三量体が確認された。単量体は主としてプロトン付加物である共役酸を生成しており, 還元二量体生成機構は電極界面で生成する共役酸ラジカル間のカップリング, 還元三量体生成機構は共役酸ラジカルが他の単量体へ付加して生成する二量体ラジカルと共役酸ラジカルとのカップリングであることを認めた。

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