日本化學雜誌
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光核反応によるオスミウムおよびロジウムの中のルテニウムの放射化分析
岡 好良加藤 豊明斎藤 達弥
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1967 年 88 巻 8 号 p. 866-871

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抄録

電子線型加速器で得られる20MeV制動輻射によってルテニウム, ロジウムおよびオスミウムターゲットを照射し, によって生じる放射性核種に関する検討ののち,γ線スペクトロメトリーによるオスミウム中のルテニウムおよびロジウム中のルテニウムの非破壊定量法を確立した。
3元素について主反応は(γ, n)反応であって, 95Ru, 97Ru, 103Ru, 102Rh, 183mOs, 183Os, 185Os, 191mOsおよび191Osの生成を確認した。
95Ru(半滅期1.65時間)のγ線0.340MeVの光電ピークあるいは娘核種95Tc(半滅期20時間)からの0.762MeVのγ線による光電ピークを測定すればS/N比および感度に関して満足すべき結果が得られる。この際, 主成分元素を制動輻射線束の内部モニターとし185Osまたは102Rhの生成量によって線量の変動を較正すれば定量精度が向上する。既知混合比のオスミウムールテニウムおよびロジウムールテニウム混合試料を照射し,照射終了時に換算した放射能計数率の比と混合重量比との関係を求めた。cpm(95Ru 0.340MeV)/cpm(185Os 0.646MeV)vs.Ru/Osおよびcpm(95Tc 0.762MeV)/cpm(102Rh 0.475MeV)vs.Ru/Rhはいずれもよい直線関係どなった。実試料の分析にあたっては照射と測定の条件を混合試料の場合と同一にして計数率比を求めればルテニウムの含量を知るえとができる。
本法により, オスミウム中の約10μg(0.01%)までのルテニウムあるいはロジウム中の約30μg(0.03%)までのルテニウムがそれぞれ土5%以内の誤差で非破壊定量できる。

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