1968 年 89 巻 6 号 p. 558-561
ニッケルとアルミニウムの薄板をサンドイッチ状に重ね合わせて加熱,加圧して両金属の接合境界に合金層をつくり,これをアルカリ展開してラネーニッケル触媒を調製し,100~800℃ の間で焼鈍法によって触媒活性点の性質を調べた。活性低下は焼鈍温度と単一に比例せず特徴ある変化が認められた。アセトンの水素化では最初200℃ 付近で活性が低下し,つぎに400℃ を越えると温度に比例して減少したが,ベンゼンの水素化では400℃ 以上になって始めて触媒活性が低下した。また,電子顕微鏡観察,X線回折によって触媒の変化の状態を調べた。これらの結果,水素化活性の滅少がニッケルの格子欠陥の消失する温度域で起こっていることから,格子欠陥が触媒の活性中心と関係があると考えられる。
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