1968 年 89 巻 6 号 p. 565-568
一置換ベンゼンの690~770cm-1領域に観測される二つの吸収帯の帰属をその強度に注目する立場から検討したところ,これら二つの吸収帯はCH面外変角振動と面外骨格変角振動が強くカップリングして,強度が再分配されたものと結論されたに。さらに,これら二つの吸収帯の強度比が一連の類似化合物の間で異なるという事実から,おのおのの吸収帯の振動形は特性的ではないことが示された。そして2本の吸収帯の強度の和が,本来ベンゼン環に対して非常に強く特性的であると考えられるベンゼンのCH面外変角振動に類似の仮想的な振動形に対応しており遭換基の電気的効果がいちようである場合には,二つの吸収帯の強度の和に特性的性格を求めるべきであると結論された。最後に上述の立場にたって強度に対する置換基効果の検討を行ない知見がえられた,新しい知見がえられた。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。