日本化學雜誌
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紫外吸収スペクトルによる混合界面活性剤溶液の性質に関する研究
常盤 文克森山 登
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1970 年 91 巻 10 号 p. 903-906

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抄録

アルキルベンゼンスルポソ酸ナトリウムのようなベンゼン環を分子中にもつ界面括性剤(A活性剤)の紫外吸収スベクトルにおよぼすベンゼン環をもたない界面活性剤(B活性剤)の影響を調べた。A活性剤のペンゼン環に基づく261mμの吸収帯の位置はB活性剤を混合してもほとんど変化しないが,その吸収強度(モル吸光係数)はB活牲剤の種類やイオン的な性質によって変化する。ドデシル酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を混合し場合,A-B活性剤の混合ミセル中のA活性剤のモル吸光係数(E(M)m)はA活性剤の単独のミセル中のモル吸光係数(E(M)8)より大きいがその差は僅少であるのに対して,ボリオキシエチレンドデシルエーテルのような非イオン性界面活性剤を混合した場合,はE(M)mはE(M)8より小さく,その差はいちじるしい。また,非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン鎖の末端に硫酸基のようなイオン基を導入するとE(M)mとE(M)8との差はイオン性界面活性剤め場合の差に近づく。このモル吸光係数の変化を混合ミセル中でのA活性剤のペンゼン環の振動運動のしやすさと関連づけて混合ミセル中におけるA活性剤とB活性剤との相互作用を考察した。

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© The Chemical Society of Japan
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