日本化學雜誌
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モノアシルヒドラジンとジチオシアンとの反応
荒井 勇萩谷 彬
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1970 年 91 巻 3 号 p. 262-265

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抄録
モノアシルヒドラジンとハロゲンとの反応についてはいくつかの報告があるが,疑似ハロゲンであるジチオシアンとの反応については報告がない。そこでこの反応を研究した。
モノアシルヒドラジンとジチオシアンを0℃,クロロホルム中で反応させると窒素ガスが発生し,sym-ジアシルヒドラジン, アシルインチオシアナートおよびモノアシルヒドラジンのチオシアン酸塩を生成する。 両者のモル比を変化させても各生成物の量にはあまり変化がみられないが,滴下順序を逆にした場合には各生成物の量に大きな変化がみられる。すなわちモノアシルヒドラジンにジチオシアンを滴下した場合にはsym-ジアシルヒドラジンが多く. オシアン中にモノアシルヒドラジンを滴下した場合はアシルイソチオシアナートが多く生成する。このことから両者の生成は競争的に起こっていると推定される。またモノアシルヒドラジンに対しジチオシアンはハロゲンとほぼ同様に反応する。
なおモノアシルヒドラジンのチオシアン酸塩のうちアセトヒドラジドのチオシアン酸塩のみがエタノールと反応して,3-メチル-3-エチル-1,2,4-トリアゾリジン-5-チオンとC10H15N4S2を生じる。
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