日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
多孔性バイコールガラスに沈積した酸化鉄の分散状態と脱水素反応活性
久保田 昌治樋口 泉
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 91 巻 4 号 p. 314-318

詳細
抄録

毛管構造のわかつている多孔性バイコールガラスに沈積した酸化鉄について,分散状態と触媒活性との関係を検討した。酸化鉄沈積量f-0.064~0.206(g/g-carr)の試料について,0℃におけるn-キサンの執着.脱着等温線を測定した.酸化鉄が担体を構成している単位粒子の表面に均一に分散しているとすると, fの増加こともなう等温線の変化がよく説明できる.一方パルス法により,f-0~0.206の触媒についてシクロヘキサンのベンゼンへの脱水素反応活性を測定した。触媒活性は最初はfに比例して増加するが,fがさらに大きくなると一定値に収敏する。活性が一定になるところでの沈酸化鉄層の厚さはα型酸化鉄の格子定数,5.4Åに近い。沈積酸化鉄量がきわめて少なければ完全な活性を示さないであろうが,少なくとも格子定数以上の厚さになれば十分な活性を示すと考えると,f の増加にともなう活性の変化を, 収着法の場合と同一の分散モデルで無理なく説明できることを述べた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top