日本化学会誌(化学と工業化学)
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限界電流測定法による硫酸チタン(III)線量計
後藤 正志井戸田 義雄石井 大道
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1972 年 1972 巻 1 号 p. 66-71

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抄録

硫酸チタン(III)の硫酸酸性溶液にγ線照射を行なうと,チタン(III)は水の放射線分解生成物によってチタン(V)へ酸化される。この照射によるチタン(III)の濃度減少量を限界電流測定法で定量することによって,比較的大線量を連続的に自動測定できる化学線銀計の基礎研究を行なった。
滴下水銀電極とHglHg2SO4電極はγ線照射に対して非常に安定であった。チタン(III)濃度の減少量と照射線量との間にはいくつかの折曲点を有する直線関係が成立した。各G(Ti4+)値はチタン(III)の初期濃度,硫酸濃度および線量率に無関係にほぼ一定であった。低線量率のときを除いて,第一折曲点までの室温(20℃)におけるチタン(III)生成のG値(G1(Ti4+))は5.76±0.13と精度のよい値が得られた。測定できる線量範囲はチタン(III)の初期濃度が大きくなるにつれて増大し,42mmol/lの溶液を用いれば2x106radの線量まで測定可能になった。また,一度使用した試料溶液はそのままの状態で電解還元することによって簡単に再調製することができた。

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