日本化学会誌(化学と工業化学)
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脂肪族ケトンオキシムのBeckmann転位反応 ―立体因子および転位試薬の影響―
尾形 強佐藤 治代吉田 弘猪川 三郎
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1972 年 1972 巻 10 号 p. 1868-1871

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抄録

立体的に大きさの異なる5種類の脂肪族ケトンオキシムR(CH3)C二NOH(R=Et,[1];"-Pr,[2];`-Pr,[3];レBu,[4];渉-Bu,[5])について塩化チオニル,五塩化リン,塩化ベンゼンスルポニル,塩化トシル,硫酸,ギ酸,三フヅ化ホウ素-酢酸錯体の7種類の転位試薬でBeckII藁ann転位反応を行ない,アルキル基の立体的な大きさ,転位試薬による影響を研究した。
その結果,相対転位率は転位試薬によりかなりの差がみられた。すなわち,塩化チオニル,ギ酸はオキシムの異性化を促進し,伽だ-アルキルメチルケトンオキシムがトランス転位して生成する1隣アルキルアセタミドのみを与えた。三フツ化ホウ素-酢酸錯体での相対転位率はオキシムのベンゼン,ジメチルスルポキシド(DMSO)溶液中での砺彦`-アルキル,ッ循アルキル両異性体の存在比,4裏,42から大きくずれた。他の試薬は反応の速さには差がみられたが,その相対転位率はほぼノL1,,42に近い値となり,反応中異性化がほとんど起こっていないことがわかった。またアルキル基が立体的に大きくなるにつれてご4,.42からのずれが大きくなった。

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