1972 年 1972 巻 12 号 p. 2259-2265
市販のパラジウムー活性炭触媒をエタノール中に懸濁したガス吹き込みかきまぜ槽を用いて,シソナムアルデヒドの液相水素化反応の速度論的研究を行なった。
反応はシソナムアルデヒドがフェニルプロピオソアルデヒドとシソナミルアル認一ルへと併発的に水素化され,さらにシソナミルアルコールがフェニルプ質パノールへと逐次的に水素化される複合反応であるが,各反応径路をそれぞれ単一反応として解析した。
反応物質濃度の初期速度におよぼす影響を考慮し,非線型最小二乗法を適用して各反応径路の初期速度式を求め,これらにおよぼす各生成物質の影響を考慮し経時変化に対応する最適速度式を決定し,速度式中の各定数を算出し,あわせて反応機構を推定した。
なお,反応物質のシソナムアルデヒドと水素の導入順序により選択性にかなりの影響を与えることを見いだした。さらに,中間体シンナミルアルコールの速度論的挙動から,シンナミルアルコール単独の水素化反応もあわせて検討し,両者の相違を考察した。
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