日本化学会誌(化学と工業化学)
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水酸化カルシウムの可溶性錯体触媒による均一系ホルモース生成反応
藤野 清治小林 純一樋口 泉
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1972 年 1972 巻 12 号 p. 2292-2297

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抄録

既報で述べたように,Ca(OH)は糖(炭水化物)との可溶性錯体[1]ならびにHCHOとの可溶性錯体[2]をっくる。そあ錯体を含む均-アルカリ性のHCHO溶液において,ホルモース生成反応と並発するCannizzaro反応の両者の速度を40~600Cの範囲で定量的に測定した。グルコースやキシロースなどの糖との錯体[1]を含む反応液の場合には,なんらの誘導期間もみられずに,ホルモース生成反応はただちに始まり,引きっづき増加していく。糖を含まない反応液の場合,すなわち錯体[2]の場合,一般にこの誘導期間は長時間にわたってあらわれ,そこではCan簸i銘ar。反応(後者)が前者に優先して起きる。逆に前者の進行と発展は後者をいちじるしく抑制する。両者の速度はHCHOの濃度に無関係であるが,それぞれの錯体,すなわち前者は[1],後者は[2]の濃度に比例する。
これらの実験結果に基づき,反応機構を詳細に考察し,前者は錯体[1]を含む反応中間体を経て進行し,後者は錯体[2]を経て進行することを明らかにした。さらに,アルカリ土類金属の種類あるいは糖の種類の異なる錯体[1]による実験結果を比較検討して,それらの触媒活性は錯体形成能の序列と密接に関連するであろうことを示した。

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