日本化学会誌(化学と工業化学)
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酢酸ビニル系ポプコン重合
瀬尾 邦昭猪川 三郎
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1973 年 1973 巻 11 号 p. 2215

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抄録

酢酸ビニル(VAc)系ポプコン重合について研究した。以下の実験で,ポプコン重合は窒素気流中55Cで行なわれた。
VAcは橋かけ剤(エチレングリコールジアクリラート(EGDA),エチレングリコールジメタクリラート(EGDMA))の量が5%以上でポプコン重合した。いろいろのポプコン重合物からつくった種を用いて,VAcのポプコン重合性を検討した。溶媒中で加熱処理したVAc-EGDA系の種を用いて,n一ブチルメタクリラート(n-BMA)のポプコン重合速度を測定した。 VAc-,プロピオン酸ビニルー,酪酸ビニルー,バレリアン酸ビニルーEGDA系,VAc-EGDMA系, VAc(n-BMA-EGDMA系の種)系,n-BMA(VAc-EGDA系の種)系ポプコン重合物を10%NaOH,水溶液-アセトン中で加水分解し,水-アセトンに不溶な部分を分離した。
以上の実験結果から,つぎのことを考察した。すなわち,(1)ポプコン重合の開始は,種中に埋蔵されている微量のラジカルで起こる。(2)種中および重合中にできる橋かけがポプコン重合に重要な役割を演じている。(3)VAc系ポプコン重合では,主鎖および側鎖ヘラジカルが連鎖移動し,そこから橋かけができる。

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