日本化学会誌(化学と工業化学)
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金属セッケンを含有するポリ塩化ビニルを原料とする活性炭の性状
角田 亮一竹下 三吉
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1975 年 1975 巻 10 号 p. 1795-1799

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抄録

ポリ塩化ビニル(PVC)とステアリン酸金属塩の混合物から活性炭を製造し,その性状について比表面積,累積細孔容積分布,金属含有率などから検討し,金属塩の種類による細孔発達におよばす影響について明らかにした。
PVC粉末に,Zn,Cd,Mg,A1,Ba,Ca,Pbの各ステアリン酸塩の-種類を,おのおの金属として0.2wt%混合したものを空気気流中で360℃まで加熱して脱塩酸物とし,これを850。Cで1~4時間水蒸気賦活した。比表面積は77。KにおけるN2の吸着により,細孔分布は水銀ポロシメーターで測定した。
これら活性炭の性状についてつぎのように分類された。
PVC-Zn,Cd,Al,Mg活性炭:PVC活性炭にくらべて,賦活の初期においてミクロ孔の発達はいちじるしく,賦活時間とともにミク戸孔に加えて,トランジショナル孔およびマクロ孔の発達がある。
PVC-Pb,Ba活性炭:賦活の初期にミクロ孔の発達はかなりあるが,その後の発達はみられない。トランジショナル孔およびマクロ孔は全賦活過程で発達がみられる。
PVC-Ca活性炭:賦活の初期において,ミクロ孔の発達はわずかしかないが,ある程度(この場合1,5時間弱)経たのち,急速に増加している。このことは賦活過程でのCaの減少に密接に関係していることが推測された。

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