1975 年 1975 巻 12 号 p. 2045-2048
安息香酸誘導体18種について13C-NMRを測定し,CNDO/2MO法による全電子密度の計算を行なって,化学シフトと物理定数との関係について検討した。その結果,m-およびp-置換体において,pKαとカルボキシル基のヒドロキシ酸素の全電子密度との問に,それぞれ並行関係のあることがわかった。また,カルボキシル炭素の化学シフトとpK,との間にも,それぞれ非常によい直線関係が成立した。p-置換体においてはカルボキシル基の結合している環炭素の化学シフトとpKαとの問にもよい直線関係が成立するがカルボキシル炭素の場合とは勾配は逆であった。
m-およびp-置換体のカルボキシル炭素の化学シフトとπ-電子密度との間にも,それぞれ直線関係があるが,勾配はたがいに逆であることがわかった。
これらのことから,p-置換体においては置換基と環との共鳴効果が安息香酸誘導体の物理定数を支配しているのに対して,m-置換体では置換基による誘起効果が支配的であると考えられる。
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