日本化学会誌(化学と工業化学)
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硫酸酸性溶液中における塩素酸イオンと塩化物イオンの反応機構
山崎 澄男大浦 博樹中森 一誠
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1975 年 1975 巻 8 号 p. 1315-1321

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抄録

硫酸溶液(30℃)における塩素酸イオンと塩化物イオンの反応生成物は二酸化塩素,塩素および過塩素酸イオンであって,反応はRapsonらが提案したつぎの(1),(2)式
ClO2- + Cl- + 2 H+=ClO2- + 1/2 Cl2 + H20 ( 1 )
ClO2- + 5 Cl- + 6 H+=3 Cl2 + 3 H20 ( 2 )
それに物質収支および地の実験から明らかになったつぎの(3)式
3 Cl08- + 2 H+=2 ClO2- + Cl0,- + H2O (3 )
の組み合わせで表わされ,そのおのおのの生成物はつぎの素反応{(a)~(e)}式で示される経路をたどるとみなされる。
ki ClO2- + Cl- + 2 H+ . ' HOCl + HClO2- (a )
k2 HClO2- + ClO2- + H+ k3 2 ClO2- + H2O (b )
HOCl + ClO2- + H+ k4 HClO2- + HCl (c )
HClO2- + Cl- + H+ k5 + 2 HOCl (d )
HOCl + Cl- + H+ (k6) Cl2 + H2O (e )
なお,二酸化塩素,塩素および過塩素酸イオンの生成速度の比はつぎのように表わされる。
reijrcior=(k6/k4) {ECI-NECl0s-1 relodrci2=12+ (2 k4/k6)
[ClO2-]/[Cl-]} / (1 + (3 k5/k3)[Cl-]/ECl08-1)
ここで,k6/k,およびk3/k5の値は実験値からそれぞれk6/k,=2.75×1O2-,k3/k5=7.5であった。

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