グアニジニウム塩水溶液(酢酸塩塩化物,臭化物,チオシアン酸塩,硝酸塩)の水構造に与える影響を調べるために,15,35℃において種々の濃度のこれら塩水溶液の密度,浸透圧係数,話量係数をpycnometry,等圧比較法によらて測定した。これらデータを前報の25℃のデータとあわせて,25℃におけるこれら塩水溶液の熱力学過剰量(Gex,Hex,3ex,Vex)を求めた。これら塩の部分モル自由エネルギーG2ex,エントロピーS2ex,エンタルピーH2exは測定した濃度領域でいずれも負の値を示し,その序列は酢酸塩 > 塩化物 > 臭化物 > チオシアン酸堪 > 硝酸塩の順で,アニオンの水構造破壊性が強いほどこれら負の値は大きかった。一方,溶媒である水に対する部分モル過剃エントロピー S1exはいずれも正の値で,その序列はS2exと逆であった。部分モル過剰容積V2exはいずれも正でその序列は硝酸塩 > 臭化物 > 塩化物であった。無限希釈のイオンの部分モル容積y跳の温度変化から得られる(∂Cp gu+0/∂T)T の値は正であった。以上の結果は水漁したイオン間の相互作用における水和殻の重なり効果をもとに,グアニジニウムイオンを水構造破壊イオンと見なすことによりうまく説明された。
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