1976 年 1976 巻 3 号 p. 477-482
2,2-ジクロロスピロ[シクロプロパン-1,9'-フルオレン]誘導体[2]のアルコール溶液を銀イオンの共存下長時間加熱還流したところ,シクロプロパン環の開環とアルコーリシスが起こって 1-アルコキシ-1,1-(2,2'-ビフェニリレン)-2-クロロ-2-プロペン誘導体 [3]や,[3]のアルコキシル基転位生成物である3-アルコキシ-1,1-(2,2'-ピフェニリレン)-2-クロロ-1-プロペン誘導体 [4] が得られた。このさい反応時間とともに変化する[3]および[4]の生成比についての検討結果から,[3]は速度論支配生成物で,[4]は平衡支配生成物であることが半朔した。またシクロプロパン環開裂によるアリルカチオンの生成に関するWoodward-Hoffmann則から,生成物[3]の立体化学を議論した。
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