1976 年 1976 巻 8 号 p. 1234-1238
亜リン酸ジフェニルはアセトニトリル溶媒中,金属硝酸塩あるいは亜硝酸塩と定量的に反応し,それぞれニトロあるいはニトロソ置換体を生ずることが見いだされたので,残亜リン酸ジフェニルを定量することによって硝酸イオンあるいは亜硝酸イオンを間接的に定量する方法の可能性について検討した。フェノールを用いてもこれらの定量は可能であるが,亜リン酸ジフェニルを用いると,硝酸イオンとの反応で誘導期が認められ,また,硝酸イオンと亜硝酸イオンでは反慈完結までの時間にかなりの差があるので,これを利用した両イオンの逐次定量が可能となる。
両イオンともに検量線は20~80μg/10mlの範囲で直線性を示し,良好な再現性を示した。共存物質については硫酸660倍量,塩酸500倍量および酢酸1600倍量の共存が許される。
逐次定量については反応温度80℃ではニトロ化の誘導期が30分で,亜硝酸イオンは反応開始後15分で全量が反応し,約60分後には硝酸イオンの全量が反応するので,両イオンの混合溶液についておのおのの定量が相対誤差5%以内で可能であった。
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