抄録
従来の孤立孔を前提とした毛管凝縮理論に対し,薪たに三次元的網目構造(TNS)モデルを導入し,細孔の構這の概念を含んだ,より現実的な解析を試みた。現象を単純化してとらえるために,Kelvin半径γkから細孔半径γを算出するさいの吸着層の厚みの変化は,第一次近似として無視できることを実験により確かめた。TNS細孔の構成要素である円筒形単位細孔の中での凝縮液の充満過程を考察し,可逆的(γ=γK),非可逆的(γ=γK/2)およびその中間的の3種の経路に分類できることを示した。各種半径の単位細孔を格子上に無秩序に配置して,TNS細孔を構築し,凝縮過程の模擬実験を電算機により試みた。各単位細孔の充満経路は,周囲の単位細孔の状況によって決まる。それぞれの経路を経る確率がγの関数として得られ,過半数の単位細孔,とくに大径細孔の大部分溶可逆経踏で充満されることがわかった。細孔半径の実罵的解析のためには,網目構造の違いによらず等温線の吸着枝にγ≒γkの関係を適用してよいと結論した。