抄録
エチレンーおよびプロピレンーテトラフルオロエチレン共重合物(ETFEおよびTFEP)を不活性ガス中において,定温加熱または昇温加熱し,分解生成ガスの同定,定量(C1~C9)を試みるとともに,分解反応の速度論的な検討を加えた。
ETFEおよびTFEPは,分解生成ガスの種類には大きな差異は認められなかったが,高温度の分解ではETFEの方が一段で低分子量の成分にまで分解しやすく,また低温度においてはC6化合物の生成量が多くなり,六員環の遷移構造をとりやすくなる傾向にあると思われる。熱分析などの結果から,両試料とも分解過程において着色化が認められた。またETFEは主鎖の無秩序開裂反応によって分解が進行するのに対して,TFEPは一次反応にしたがうものと考えられる。それらの速度論的パラメーターとして,活性化Ptネルギーはそれぞれ49.1および59.7kcal/molと求められたが,定温法による結果とくらぺ,ピン度因子に大きな差が認められた。TG-MSによる同時瀾定も行ない,両試料の分解の相違についてあわせて検討した。