1980 年 1980 巻 1 号 p. 24-27
強磁性沈殿を得るために,硫酸鉄(II),スズ酸ナトリウム,水酸化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの水溶液を混合して得られた懸濁水溶液の熟成を70±0・5℃で行なった。このようにして得た沈殿をX線回折,化学分析および57Feと119SnのMössbauer測定により調べた。アルカリ懸濁液中では,スズ(IV)と鉄(II)からなる水酸化物は懸濁液中のそれぞれの金属イオンの濃度および過剰の水酸化ナトリウムの濃度を選ぶことにより,スピネル型構造をもつ強磁性で黒色の粒子に酸化される。Fe1-xSnx04/3の格子定数は,xの増大とともに増大し,x=0.110で8.50Åになる。x=0.045のFe1-xSnx04/3粒子の119SnMössbauerスペクトルは,すべてのスズ(IV)イオンがスピネル格子中のB位置に存在することを示している。xが0.110より大きくなると生成物中に強磁性生成物のほかに非強磁性のFeSnO(OH)5の粒子が存在してくる。
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