日本化学会誌(化学と工業化学)
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塩化鉄(III)を含むN-アルキルアミドの光分解のESRによる研究
栗田 雄喜生横山 泰城風 淳一藤井 義久
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1982 年 1982 巻 7 号 p. 1111-1116

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抄録

FeClsを含む種々のN-アルキルアミドの光分解機構について,ESRその他の分光学的手法を用いて調べた。
IR,UVによって,アミドは酸素原子でFeCl3に配位し,電荷移動錯体を形成していることが確認された。N-プロピルヘキサンアミドの場合,電荷移動吸収帯(λmax312nm)のεは4.3×103であった。アミドに対して,2~3×10-4molのFeCl3を加え,液体窒素温度で真空下光照射を行ない,生じたラジカルをESRによって同定した。紫外光照射によって,まず,アミド結合の開裂による7シルラジカルが生じた。このラジカルは可視光照射によって脱カルボニルし,アルキルラジカルにな海た。アルキルラジカルが小さい場合には,この試料のアニールによって, アルキルラジカルによる他の分子からの水素引き抜きが起き,アミドのカルボニル基のα-位に不対電子のあるラジカルと,イミニルラジカルが生成した。イミニルラジカルの検出によって,最初のアシルラジカル生成のさいにイミ堵も同時に生成していることが初めて明らかになった。

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