日本化学会誌(化学と工業化学)
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クロム鉄鉱からのクロム(VI)酸イオンの水熱抽出反応
山崎 仲道叶原 悟司松岡 清
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1982 年 1982 巻 7 号 p. 1147-1151

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抄録

クロム鉄鉱からクロム(IV)酸イオンの形でクロムを抽出する新しい方法を提示する。この方法は水熱条件下で酸素ガスによる酸化と生クロム(IV)酸イオンの抽出を同時に行なうことによるものである。実験は炉体をロッキング動作をさせることによって試料をかきまぜることができる超小型オートクレープ(内容積10ml)によった。クロム分が100%抽出する条件は,たとえば水酸化ナトリウム濃度7.5mol・dm-3,反応温度400℃,酸素初圧12~13MPa,反応時間20分であった。クロム分の抽出変化およびクロム分抽出にともなう残留物(鉱さい)の変化から抽出過程を考察した。すなわちマダガスカル産クロム鉱石粉末-(Mg,Fe)Cr2O4主成分-から鉄(E)が酸素ガ鼠によって酸化されクロム位置に移動し,同時にクロム(III)が酸化されCro42-となってアルカリ水溶渡中に抽出される。クロム分が60%抽出された時点で鉄(III)がすべて酸化されフェライト(MgFeO4)を生成し,余剰クロム分はMgCr2O4となる。ついでMgCr2Oが水熱下で酸化され,Mg(OH)2が生成し,CrO42-は溶解する。100%クロム分が抽出された場合・残留物(鉢さい)はMgFe2O4とMg(OH)2の混合物となる。またアルミナシリカはアルカリ堪として溶液中に移行することがわかった。

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