1983 年 1983 巻 4 号 p. 507-512
さきの研究で得られた20~55%硫酸溶液中での硫酸カルシウムニ水和物(二水セッコウ)の脱水 反応CaSO4・2H2O→ α-CaSO4・1/2H2Oにおける反応温度と誘導時間の測定データを用いて硫 酸濃度Z(%), 反応温度y(℃)および誘導時間x(min)の3因子間の関係を表わす実験式を得るための手法ならびに準安定相の状態図として等時法の可能性を検討した. データ解析にはつぎの三つの近 似関数の式を用いた.
y=Yx-m (1)
Y=-a1eb1z+C1 (2)
m=a2Zbz+c2 (3)
反応温度と誘導時間の関係(式(1))および式(1)から得られたパラメーターY, mと硫酸濃度の 関係(式(2), (3))がそれぞれの近似式によく適応することを統計学的処理によって確認し, 式(1) を基本式としてつぎの実験式を誘導した。
y=(-4. 886e0.04897Z+111.33)x-(1. 362x10-10Z5. 093+0. 01410)
その結果, 硫酸溶液中における二水セッコウの準安定状態図を誘導時間による等時線で示すことが可 能となった。そして鉱酸中における硫酸カルシウムの平衡関係の中で準安定相として存在する領域での 二水セッコウとα 型硫酸カルシウム半水和物(半水セッコウ)の挙動が工業的に重要であることから, 本研究で得られた準安定相の状態図は実用上により有効である。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。