日本化学会誌(化学と工業化学)
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9-置換9-(o-トリル)フルオレン誘導体の配座平衡
西田 晶子渡辺 茂樹藤崎 静男原 宏梶返 昭二
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1983 年 1983 巻 8 号 p. 1148-1153

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抄録

種々の9-置換9-(o-トリル)フルオレン誘導体(置換基として9-プロモ〔2〕,9-メトキシ〔3a〕,9-エトキシ〔3b〕,9-メチル〔6a〕,9-エチル〔6b〕,9-ベンジル〔6c〕,9-(o-トリルメチル)〔6d〕9-アセチル〔7a〕,9-ベンゾイル〔7b〕,9-カルボキシ〔8〕,9-メトキシカルボニル〔9〕,9-ヒドロキシメチル〔10〕および9-(o-トリル)〔13〕を導入した)を合成し,これらの化合物の配座平衡について検討した。〔2〕,〔3〕,〔6〕,〔7〕,〔8〕,〔9〕および〔10〕においてsp体,ap体両配座の平衡(sp⇔ap)には,9-位に直接結合した原子または原子団とo-トリル基のメチル基との相互作用が寄与していることが推察された。とくに〔7a〕,〔7b〕および〔9〕では,それらのDNMRスペクトルの線形解析によりC(9)-(o-トリル)単結合のまわりの回転の活性化自由エネルギーはΔGsp→ap12.4~12.7kcal/mo1,ΔGap→sp11.7~12.4kcal/molと求められた。また〔13〕では-ap,+sp(or+ap,-sp)⇔+ap,+ap(or-ap,-ap)の配座平衡が推定され,両配座間の活性化自由エネルギーはそれぞれΔG-ap,+sp(or+ap,-sp)→+ap,+ap(or-ap,-ap)12.3kcal/mol,ΔG+ap,+ap(or-ap,-ap)→-ap,+sp(or+ap,-sp)12.6kcal/molと計算された。

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