石炭液化における反応機構を明らかにするため,溶剤としてテトラリンを用いた太平洋炭の抽出液化反応を行なった。 温度の影響はかなりあったが,THF可溶分であるSRC-TC収率以外にはH2圧,N2圧の差はほとんどなかった。水素移動量に対する転化率BCのプロットは,H2圧,N2圧で同一線上にのるということからもH2分子の化学的な関与はほとんどないと思われる。転化率 BC に対する加圧の負の効果は,圧力が小さいときの軽質化やガス化の増大に関係していると考えられる。ベンゼン可溶分であるSRC-BCの fa は,転化率BCと同じような傾向を示し転化率 BC の増大とともに fa は大きくなった。このことから二つの反応機構が考えられる。一つは,反応温度が高いときには,当初の液化物がさらに反応して fa が高くなるという機構であり,もう一つは,転化率とともに fa の大きな液化物ができてきて,全体として fa が大きくなるという機構である。
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