1984 年 1984 巻 2 号 p. 233-238
硫化カドミウム単結晶電極を光アノードとするとき,ギ酸イオン添加によって光電流が2倍にまで増加する電流2倍効果が観瀾された。光電極反応生成物の詳しい分析を行ない,電流2倍効果が起こっているときにはCdSの光溶解が完全におさえられていることがわかった。CO2とH+の生成の電流効率は100%であったことから,
HCOO-+P+→H+ +CO2+e+
なる反応が進行しているものと考えられた。ギ酸添加によって光電流の立ち上がり電位もカソード側にシフトした。CdSが安定化されたこと,光電流が2倍にまで増加したこと,光電流がカソード側から流れ始めたことという特長をCdS/HCOOCO-光アノードがもっていることが判明した。白金対極とともに用いて光電池を組み,その特性を調べた。中性の一電解液系のとき,光起電力は約0.8V,短絡光電流は光強度に比例して得られ,対極から水素が発生した。光電池特性を向上させるため,アノード室とカソード室をカチオン交換膜で分離し,アノード室はHCOO-を含む中性とし,白金カソード室は硫酸を添加して酸性にした。光電池特性は向上し,光起電力の値も増加した。この光電池を連続的に運転するときのシステム図を提案した。
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