1984 年 1984 巻 5 号 p. 668-672
パラフィンの酸化に対し実用的な固体触媒の探索を試み,Co3率を活性炭に担持した触媒はこの酸化に対し高い活性を有することを見いだした。この触媒は反応中,コバルト(III)イオンは反応液に溶出せず,また触媒調製に使用した溶媒中のCo3+は触媒活性を有さないこと,さらにコバルト(II)イオンを活性炭に担持しても触媒活性はないことが示された。これらの結果から,この酸化には活性炭に固定されたCo3+の関与することが示唆された。
この触媒によるパラフィンの酸化速度は触媒濃度に1/2次,酸素圧に 0次であり,見かけの活性化エネルギーは 107~130℃ の範囲で 17kcal/molであった。また酸素吸収量124 l/l-パラフィンにおける生成物分布は脂肪酸3,エステル3,ケトン1,アルコール1の比率であった。原料パラフィンがドデカン23mo1%,トリデカン43mo1%,テトラデカン34mo1%からなるとき生成脂肪酸はC5~C8酸が主生成物となった。 これらの結果は金属イオンによる均一液相酸化に対し提出されたラジカル反応機構で説明できた。
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