日本化学会誌(化学と工業化学)
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ガスクロマトグラフィーによるWandoan炭液化油中の極性成分の分析
杉本 義一三木 康朗山田谷 正子大場 昌明
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1984 年 1984 巻 5 号 p. 755-763

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抄録

溶融シリカキャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフ(GC)およびガスクロマトグラフー質量分析計(GC/MS)を用いて,Wandoan炭液化油中の極性成分の分析を行なった。反応は,内容積300mlの回転かきまぜ式オートクレープにWandoan炭20g,トルエン25ml,α-Fe2O3(硫化)0.5gを充填し,反応温度450℃,水素初圧100kg/cm2,反応時間1時間で行なった。液化生成物から蒸留により得た留出独(常圧換算180~420℃)をアルカリ洗浄,酸洗浄および活性アルミナカラムにより,それぞれ酸性成分,塩基性成分,中性極性成分に分離した。
酸性成分は単環のフェノール類が大部分であり,ほかにインダノール類,テトラヒドロナフトール類,ナフトール類フェニルフェノール類などが含まれていた。塩基性成分は単環から四環までの窒素化合物であり,ピリジン類,アニリン類,キノリン類,ナフチルアミン類,三,四環窒素化合物およびそれらの部分水素化物であった。中性極性成分には非塩基性窒素化合物であるインドール類,カルバゾール類が少量含まれているが,ほとんどはアルキル側鎖の炭素数が比較的多いフェノール性化合物であると推定された。

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