日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルコールおよびカルボン酸のフッ素化剤としてのヘキサフルオロプロペン-ジアルキルアミン付加体の有効利用テトラフルオロプロピオンアミジン,テトラフルオロエチル置換ベンゾ縮合複素環化合物およびフルオロシトシン誘導体の合成
高岡 昭生岩切 浩藤原 直樹石川 延男
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1985 年 1985 巻 11 号 p. 2161-2168

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抄録

ヘキサフルオロプロペンはジアルキルアミンと発熱的に反応して付加体のα,α-ジフルオロアルキルアミンと置換体のeα-フルオロエナミンとの混合物を生成するが,このHFP-R2NH(またはHPDA)試薬はアルコールおよび力ルボン酸の良好なフッ素化剤であることがわかった。この試薬はクロロトリフルオロエテンにジエチルアミンを作用して得られるFAR(またはYarovenko試薬)よりも合成が容易でかっはるかに安定で貯蔵性に優れていた。
さらにHFP-R2NH試薬にアミン類を反応させると,N2-アリール(またはアルキル)-2,3,3,3,-テトラフルオロプロピオンアミジン類が得られた。また2-アミノフェノール,o-フェニレンジアミン,2-アミノチオフェノールおよび2-アミノベンズアミドなどのオルト二官能性ベンゼン誘導体にHFPEt2NH試薬を作用させると対応する2-(1,2,2,2-テトラフルオロエチル)-置換ベンゾオキサゾール,ベンゾイミダゾール,ベンゾチアゾールおよび2-(1,2,2,2-テトラフルオロエチル)-4(3H)-キナゾリノンなどが容易に合成できた。そのう,え,HFP-R2NH試薬は尿素類と反応させるとNl,Ni-ジアルキル-N2-カルバモイル-2,3,3,3-テトラフルオロブロピオンアミジンが得られ,これをアルコキシドで閉環させ6-アルコキシ-1-アルキル-5-フルオロシトシン類を得ることができた。

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