抄録
絶縁性のポリ(塩化ビニル)(PVC)フィルムをコートした電極上でピロールの重合を行なうことにより, PVCと導電性のポリピロールとの複合導電性フィルムが得られる。ポリピロールの生成は電極とPVCとの界面からはじまり, PVC中に複合されていく。このため重合初期にはフィルムの電極面のみが導電化され, 重合の電荷量の増加により表面まで導電性になる。複合フィルムの電気・光学的性質は重合条件により, 広範囲に綱御できる。20μm以上の膜厚のフィルム, 重合電圧2Vのとき, 表面抵抗200Ω 以下の高導電性が得られた。また, ポリピロールの複合量を低くすることにより, 光透過率60%, 表面抵抗1.7~4.2kΩ(電気伝導度:2~5/Ω ・cm)の半透明な導電性フィルムを作製できた。ポリピロールの複合機構についても考察した。