日本化学会誌(化学と工業化学)
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アミノ酸のプレカラム蛍光誘導体化試薬としての2-メトキシ-2, 4-ジフェニル-3(2H)-フラノン
中村 洋高木 和子田村 善蔵与田 玲子山本 有一
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1986 年 1986 巻 7 号 p. 1017-1024

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抄録

主としてタンパク質の蛍光標識試薬として利用されてきた2-メトキシ-2, 4-ジフェニル-3(2H)-フヲノン(MDPF)をアミノ酸のプレカラム蛍光誘導体化試薬として活用する試みを行なった。誘導体化反応の至適条件の検討は, α-アミノ酸の場合には生成するMDPF誘導体が蛍光性であることを利用して蛍光検出フローインジェクション分析法によった。一方, N-アルキル-α-アミノ酸(環状アミノ酸を含む)についてはMDPF誘導体が無蛍光性であるので, これを過剰の試薬や試薬水解物からHPLCで分離後に2-アミノエタノールを添加して蛍光検出する方法によった。その結果, アミノ酸の蛍光誘導体化には10mmol・dm-3MDPFとともにpH10, 20℃ で40分間反応させる条件が最適であった。α-アミノ酸からは一対のジアステレオマーによると思われる2本の蛍光性ピーク渉生じたが, TSKLS-410K逆相カラムと50mmol・dm-3リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)-メタノール系移動相を用いるメタノール勾配溶離法により, 2~5pmolのα-アミノ酸を定量し得た。100pmolのα-アミノ酸を5回分析した場合の相対標準偏差は2.9~5.3%であった。予試験の結果から, MDPFはペプチドのプレカラム蛍光試薬としても有望と思われた。

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