日本化学会誌(化学と工業化学)
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3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒドの閉環反応によるナフトチオピラン誘導体の合成
中沢 利勝柴崎 正己板橋 国夫
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1987 年 1987 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

2-ナフタレンチオール(2-NT)とアクリルアルデヒド(AAa)の付加反応により得られる3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒド[1a]をプロトン酸の存在下で反応させると,ホルミル基による閉環によって2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン-1-オール[2a],3H-ナフト[2,1-b]チオピラン[3a],2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン[4a]などのナフトチオピラン類が生成した。この反応でプロトン酸の種類および反応条件を選択することによって[2a],[3a]および[4a]を,それぞれ主生成物として選択的に得ることができた。
一方,チオール類,チオ酢酸,アセトニトリルあるいは2-ナフトールなどの求核剤の存在下で[1a]の反応を行なうと,求核剤のホルミル基への付加につづいて閉環反応が容易に進行し[2a]のヒドロキシル基が求核剤で置換された生成物が,それぞれ高奴率で得られた。
また,[1a],3-(2-ナフチルチオ)ブチルナルデピド[1b],2-メチル-3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒド[1c]の50%硫酸による閉環反応では[2a~c]が得られ,[1a~c]の2-NT存在下での閉環反応では1-(2-ナフチルチオ)-2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン類[6a~c]を得た。

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