日本化学会誌(化学と工業化学)
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新しいLB膜作製装置の試作とステアリン酸三価金属塩単分子膜の累積への応用
粂原 偉男田坂 茂宮田 清蔵
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1987 年 1987 巻 12 号 p. 2330-2337

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抄録
水槽(トラフ) と薗体基板の幅を同一にし, トラフの内側に圧縮時, 累積時に浮子とともに移動できる壁(移動壁)を設けた新しい Langmuir-Bledgett(LB) 膜作製装置を試作した。固体基板の幅に対してトラフが十分大きい従来型装置では圧縮にさいしバリヤー手前のトラフの内側近傍で単分子膜の不均一化が進み, 累積時には基板にまわり込む不均一な膜の流動をともなうため, 水面上の膜配列を大きく乱す欠点があった。しかし, 今回試作した装置を用いると, 単分子膜は均一に圧縮され基板にまわり込む不均一な膜の流れは消滅し, 水面上の膜配列を乱すことなく累積することができた。従来型装置を用いてLB膜を作製する場合, 膜物質は水面上で安定な固体膜を形成し適渡な流動性をもつ必要があった。しかし, 今回試作した装置では, 従来, 累積が困難で濁った流動性に乏しく剛性に富むステアリン酸三価金属塩(ランタン塩, アルミニウム塩)がY型膜として再現性よく得られ, X線回折測定から高度な層状秩序構造を保持していることが明らかとなった。
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