日本化学会誌(化学と工業化学)
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海水中の塩化トリブチルスズの光分解
高橋 一暢吉野 登統大八木 義彦
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1987 年 1987 巻 2 号 p. 181-185

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抄録

電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフィー(以下ECD-GCと略記する)により海水中の塩化トリブチルスズ(以下TBTCと略記する)の光分解について検討した。
TBTC濃度1.2μg/mlの海水が入った100mlメスフラスコ(硬質ガラス製)に紫外線として高圧水銀ランプ(三菱電機製H400-F,主波長:365nm,放射照度:8.68×103μW/cm2)を照射したのち,照封海水に12mol・dm-3塩酸1mlを添加し,ヘキサン拙出により光分解していないTBTCをECDGCにより定量した。本法のTBTC濃度1.2μg/mlの回収率は93~97%,平均値95%を示し,ピーク面積の5回のくり返しによる相対標準偏差は3.3%で高い精度とよい回収率を示した。
高圧水銀ランプの照射による海永中のTBTCの光分解の半減期は257時間て約(11日)であった。このことは,海水中のTBTCは紫外線の照射によってほかの有機スズ化合物および無機スズ化合物へと光分解されるものと推定された。

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