日本化学会誌(化学と工業化学)
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Raney ニッケル分散めっき電極のキャラクタリゼーション
遠藤 榮治音馬 敝森本 剛小田 吉男
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1988 年 1988 巻 6 号 p. 858-863

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抄録

Raney ニッケル合金粉末を鉄基板上に分散めっきして作成した Raney ニッケル分散めっき電極の構造と特性を, 走査型電子顕微鏡, 窒素吸着法による比表面積の測定, 光電子分光法, 交流インピーダンス法および直流分極法により検討した。
走査型電子顕微鏡による表面観察により, Raney ニッケル粒子は微視的にはデンドライト状になって電極表面に共析していることがわかった。電極の比表面積の測定から, 電極のラフネスファクターは約 8000 という値になることがわかった。光電子分光法による表面組成分析の結果, 電極表面はほとんど Nio でおおわれていることが判明し, この Nio は電極が空気に露出されたさいに生成したものと推定された。交流インピーダンス法により電極インピーダンスの周波数応答を調べた結果, 電気二重層のインピーダンスの位相角は約 45°の値を示したことから, 電極は交流に対して“porouselectrode”として挙動することがわかった。本電極は Raney ニッケルと分散めっきのマトリックスとしてのニッケルから構成されており, それらは水素発生に対して異なった反応機構を示す。そこで直流分極法により 90℃ 35wt% NaOH 溶液中で水素電極反応の分極曲線を調べた結果, 高電流密度の Tafel 線の勾配は約 45mV (2nF/3RT) という値を示したことから, 水素発生反応はほとんど Raney ニッケル上で起こるものと推定された。

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