日本化学会誌(化学と工業化学)
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塩化および臭化タリウム(III)によるエチレンの酸化反応の速度
広瀬 功藤井 健史沖津 弘之
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1989 年 1989 巻 1 号 p. 68-74

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抄録

塩花タリウム (III) および臭化タリウム (III) 水溶液によるエチレン酸化の反応速度を, 初速度法によりTl3+の消費量を測定して求めた。得られた速度式はTlCl3; υ1=k1 [Tl3+]1.16・PC2H40.90・[Cl-]-1.04 (mol/l・min)
k1=9.90 × 105・exp {-15200/RT} (mol・cm2/l・kg・min)
TlBr32=k2 [Tl3+] 0.84・PC2H40.82・[Br-]-0.84・ μ0.73・[H+] -0.06 (mol/l・min)
k2=1.55 × 107 ・ exp { -19100/RT } (mol2・cm2/l2・ kg ・ min)
で表わされる。とくに臭化タリウム (III) の場合にはこの実験条件下で別種の小副反応が併存して観測されたおそれはあるが, ほぼ両反応とも同様な速度式 υ=k [ Tl3+ ]・[ C2H4 ] ・ [ X-]-1にしたがって進行することがわかった。この速度式は従来ハロゲン化タリウム (III) 以外のタリウム (III) 参加について知られていた速度式とも, また, 類似のパラジウム (II) 酸化の速度式とも異なり, これは反応機構上も本報の反応がこれら両反応と相違することを示唆している。

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